源氏物語コラム(桐壷2)

「すぐれてときめきたもう」お妃様、それは「いとやむごとなき際」ではない女性でした。まあ、大納言の姫君なのですから貴族の女性ではあるのですがね。

 王者の後継者を得るために、王者は種馬と化します。また、生まれた子供の後ろ盾が必要なため、後宮の女性の序列はその女性の出身の家の身分が関係してきます。これを守っている限り、後宮は(内側での女性同士のライバル感は別として)平安です。中国も朝鮮も日本も、同じでした。(トルコはこれを避けるため、高級の女性はみんな奴隷出身でした。)

 しかし、物語の現実では、この秩序が最初から破られています。「愛」と「身分」が釣り合わないのです。これが混乱と悲劇を孕んでいきます。帝もそれを知らないわけではありません。でもどうしようもない。それが「愛」なのです。「源氏物語」はこのような「愛」を背景とし、このような「愛」をテーマとして語られていくのです。

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