源氏物語コラム（桐壷３）

源氏コラム　３

　桐壺の更衣、身分違いの寵愛を受けた彼女は、後宮の女性たちの数々の嫌がらせ（いじめ）を受け、ストレスのせいでしょうか、体を壊してしまいます。どのようないじめを受けたのでしょうか。

　まず、表の貴族たちにもその寵愛ぶりが目立ち「あいなく目をそばめつつ」と、貴族たちからも「困ったものだ」と思われています。少し後になりますが、「楊貴妃の例」も持ち出して。「困ったものだ」と言っています。（これについては後述します）

　お妃たちは、まして「許せないわ！」と思っているのは察せられます。当時は後宮の殿舎は廊下伝いに繋がっていたので、彼女が帝のおそばに呼ばれるときは、数々のお妃たちが住む御殿の前を通っていくのです。呼ばれる方も、それを見ている方もたまったものではありません。どうしても通らなければならない廊下の板戸を示し合わせて閉じてしまったり、廊下に渡したちょっとした橋のような渡り道を外してしまったり、ひどい時には通り道に「あやしきわざ」をした、とあります。この最後の「あやしきわざ」には、古来、いろいろな説がありますが、動物の糞などを撒いておいたのだろう、というような説まであります。

　とうとう、意地悪を見かねた帝は、後涼殿に前からいたお妃を他所へ移して、そこを桐壺の更衣の控え所に賜った、というのですが、前からそこにいたお妃は、当然のこと、桐壺を恨んだでしょう。こうやって、直接、自分が望んだことではないことからも、恨みを負っていくのですから、ストレスが溜まっていくのは、現代医学でも納得の結果でしょう。

　こうしてせっかく生まれた皇子が三歳になった喜びも束の間、更衣は病に倒れてしまいます。